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KAZUⅠ調査引き上げで注目の「飽和潜水」ってなに?  [2022年05月10日]
 

知床で ゴールデンウィークを前に 知床観光船「KAZU1」 沈没したことは 皆様もご存知のことと思います。14名の方が 遺体で見つかり、未だ12名の方が行方不明です。

5年前の夏に私は「オーロラ」号(491トンの大型船)で訪れ知床とその厳しい自然を感じて参りましたのでなおさら驚くと共に自然の怖さを感じました。

さて、懸命の捜索でKAZUⅠの船体は カシュニの滝沖1キロど約深さ115mの海中で見つかり海上自衛隊や警察の探査機によって調査され、現在の状況は少し分かってきました。

民間の調査船「新日丸」と無人探査艇「はくよう」による調査が始まりKAZU1はより詳しいことがわかってきました。原因究明にはさらなる調査と船体の引き上げが必要でしょう。

ここで 最近報道されているのが 「飽和潜水」にという手法を用いて 実際に 潜水士が 現場に潜って調査するという方法です。

わたくしは 趣味として ダイビングをしますので、どんなものか興味がわき調べてみました。当社スタッフの中丸はダイビングインストラクターで潜水士の資格も持っていますので彼に聞いたり、Wikipediaなどに詳しい解説がありました。ダイビングしない人には良くわからないと思いますので少し解説してみたいと思います。深いところに潜ると何が難しいかというと、圧力をかけると液体や細胞組織などに溶け込んだ気体が浮上により圧力が下がると気体として出てきてしまうことです。血管などに気泡が生じて血流が回らなくなり障害が出るのが減圧症です。最悪、死に至る危険性もある怖い症状です。ビールやシャンパン、炭酸飲料など栓を抜いた時、炭酸ガスが気泡になり出てきますね。あれと一緒です。瓶の中にある液体に圧力をかけると気体が液体の中に溶けていきます。

溶け込む量は気圧が高くなるにつれて多くなり一定の圧力ではそれ以上溶け込まなくなります。この状況が気体が「飽和状態」まで溶け込んでいるという状態です。「飽和潜水」は潜水士の体を水中に入る前に予め地表などに設置したカプセルなどの中で徐々に「飽和」させカプセルごと目的の深度に沈め作業終了後にカプセルごと引き上げ、時間をかけて少しずつ体内組織に溶け込んだ気体を抜いていくという方法です。

 

アマチュアのダイビングでは入門のライセンスは18mまでしか潜れません。 一つ上のライセンスを取ると 30mまで もぐることができます。さらに深さに関する専門性の教育を受けて 40mの深さまでは潜る事ができます 。深いところに潜ると減圧症のリスクが高くなるため、きちんとした教育とテクニックを経て事故なく深いところに行きましょうということです、実際 沖縄の 古宇利島沖に沈むアメリカ海軍駆逐艦エモンズでは水深43mほどまで 潜ったことがあります。 アマチュアが 一般的な装備でもぐるのは この深さが限界です。

それでも、船から予備の減圧用タンクとレギュレーターを水深5mほどに下げるなどして減圧に対してさまざまな準備をして潜ります。深いところに行くときは本当に緊張します。

 

理屈に戻りますが、水深が深くなるにつれて呼吸する空気は水圧と同じ高い圧力のものを呼吸しています。ダイバーが吸う空気は 周囲の圧力とバランスした圧力になります。

一般的に地表で生活する人間は一気圧の圧力を受けて生活しています。

10mの深さに潜ると10m分の水の圧力は1気圧ですので 地表の1気圧を足して 合計 2気圧の力を受けていて、肺が吸う空気も2気圧の空気を吸っています。 地表の倍の量の空気を吸っています。地表で1リットルなら10mの深さでも1リットル人間は吸っています。ただし、密度が2倍なので重量も2倍の空気を吸っています。20mになれば2気圧ですから+1気圧して3気圧。 今回KAZU1 が沈んでいる 海の深さは115mと言われていますので その海の深さで 活動する潜水士には11.5気圧+1気圧 合計 12.5気圧の 圧力受けてその圧力の気体を呼吸するわけです。一般的にダイバーが使っているタンクには多くの場合約200気圧の空気(酸素だけではありません)が充填されています。空気中では21%が酸素で残りのほとんどが窒素です。酸素は体内で交換され炭酸ガスになって消費されますが窒素は生命活動では消費されないため単純に体内に蓄積します。「飽和潜水」では窒素の量を減らしヘリウムを混合した空気を使うそうです。浮上すると(減圧されると)体内に蓄積された窒素が血液を通して放出され、呼吸とともに体外に排出されます。しかし、すぐに放出される訳でなくゆっくりと溶け出していくのです。ですから100mくらいになると減圧に5日ほどもかかるそうですね。アマチュアダイバーでも深いところに行くと浅い場所で減圧(体内窒素放出)のための時間をとっています。

初期の「飽和潜水」では機器の故障などで事故が生じたり健康に被害が出たりしたようですがイギリスは北海油田開発でこの技術が進んだそうです。実は日本の自衛隊は相当この技術が進んでいるようで、この分野では世界のトップランナーだそうです。

 

さて、原因究明はこういう事故が二度と起きないためにもしっかりやってほしいなと思います。知床観光船の会社の体質がかなりずさんであったことも解ってきましたし、何よりの事実を語る船体の引き上げ調査はやはり必要なことと思います。「飽和潜水」で早く調査が進み事故原因が解明され行方不明者が見つかること願うと共に亡くなりになった方のご冥福と不明者の一刻も早い発見をお祈り申し上げ、ご家族の方へのお見舞い申し上げますます。

Posted at 08:15